居室の天井の高さは何故2400mmなのか?建築士の考察#1
分譲住宅などで見かける天井高さ2400(mm)
殆どの住宅ではこの高さになっている。
これについて、私なりの謎解きをしたいと思う。
住宅を作るのに使う材料は既製品だということ
まず、自由設計といっても、住宅で使う材料は既製品である。
まさか、木を伐りだして使いたい形に全てを製材してから家づくりをするとは思えない。そんな無駄なコストをかけることはない(と思う)。
だから、自ずと既製品のべニアなどを使用するわけである。
既製品の大きさの呼び方
その既製品のべニア板であるが、通常、サブロクバンとかサンパチバンなどと呼ばれている。
これに倣ってプラスターボードなどもその大きさで揃えている。
サブロクバンとは3尺×6尺のこと。
厳密には昔の尺貫法を無理にメートル法に直しているから910mm×1820mmの製材である。(若干の違いはある)
だから2m40cmなんだ!
同じようにサンパチバンとは3尺×8尺。
910mm×2420mm
そう。これを使うと2400mmの長さは一枚で作れる。だから一枚板で内装が仕上がるのは何ともコストや手間的に好ましい。
中途半端な高さなら板を継ぎはぎしなきゃいけなくなる。
でも、私の家は2500mmなんだけど・・・
そうおっしゃる方も居るかもしれない。
ご心配無用。
単純にサンパチバンを使い、上方に廻り縁、下方に巾木を当てれば問題ない。
巾木は60mmから80mm、廻り縁は20mmから30mmあり、これに隙間をとって施工することを考えれば十分間に合う。
だから、2500mmの天井はなんとかクリアできる。
大工さんと話したところ、2450mmくらいなら普通に施工しているとのこと。
やっぱり、可能とはいえ、2500mmはちょっと気をつかうらしい。
高いところはどうやって施工する?
では、2700mm、もしくは2800mmなど、ちょっと天井が高い空間はどうするのか。
これはしょうがない。継ぎはぎでもいいのでとにかくつなげるしかないのだ。
繋ぎ面をどうするかで施工の難しさが決まる。
丁度いいところで見切りがあればしめたもの。見切りとは鴨居、長押など和室にはよく存在する。ここで普通に切って納める。
しかしながら、ちょっと申し訳ないけど、見切りが無い高い壁を設計者は好む。
何もない壁の気持ちよさが欲しい。とっても気持ちがよくわかる。
ここは腕の見せ所。
下地であればVカットして寒冷紗を貼ってパテ埋めするが、これが仕上げ材であったときはうまくつなぎ目を目立たせなくする技術が問われる。ここで職人の腕の善し悪しが出てくる。
ちょっと現場を知ってしまうと、職人さんの苦労などを思って、仕様などを躊躇してしまうのだが、やはり設計としての気持ちは理想の空間を作りたいと思う。
だから職人さん、苦労掛けるけれど、一緒に満足できるものを作るため、ご協力お願いいたします。
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